色んな所で話題になっている「Nintendo Switch」のBluetoothやWi-Fiの感度の弱さですが、私の環境でもWi-Fiの接続や速度が不安定だったので、原因と対処法をまとめました。
はじめに
今回の記事は、固定回線(光回線 または ADSL)でSwitchを使用している場合のみが対象です。
スマートフォンでのテザリングやモバイルデータ通信、またはそれらを利用した据置のネット機器(Softbank Air・WiMAX +5Gなど)を使用している場合は、そもそもその「回線」が不安定である可能性が高く、この記事の内容だけでは改善する可能性は低いです。
対戦ゲームでは通信速度も重要ですが、それ以上に安定性・応答速度が重要です。テザリングやモバイルデータ通信(4G・5Gなど)は光回線と比較すると劣る場合が多く、回線落ちの原因になりやすいです。
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電波が干渉していることが原因かも?
まず考えられるのは、周波数が近い電波が干渉してしまい、通信が途切れたり、不安定になってしまっていることです。
なぜ干渉が起こるのかというと、Nintendo Switchの使う電波と同じ周波数帯の電波が多数飛んでいるからです。Nintendo Switchの場合、コントローラーなどとの接続に「Bluetooth」、インターネット接続に「Wi-Fi」を使用します。
それぞれ使用している周波数帯は以下の通りで、そのうちNintendo Switchが対応しているのは2.4GHz・5GHzです。
通信規格 | 周波数帯 |
---|---|
Wi-Fi | ・2.4GHz ・5GHz ・60GHz |
Bluetooth | ・2.4GHz |
「2.4GHz」は特に干渉しやすい周波数帯
2.4GHz帯は、Wi-Fiで昔から使われている周波数帯ということもあり、ほぼすべての家庭のWi-Fiで使用されています。
5GHz帯に対応しているルーターでも、引き続き2.4GHzも併用するというのが一般的です。
このことから、Wi-Fiルーターが密集しやすいアパートなどの集合住宅では干渉が起きやすいです。
「電子レンジ」との干渉が特に問題
また、それ以外の大きな要因として「電子レンジ」があります。一見、Wi-Fiなどとは関係なさそうに思われるかもしれませんが、電子レンジは電磁波を使用して加熱する機器であり、その電磁波の周波数が2.4GHzとなっています。
電子レンジが使用する電磁波はかなり強力なので、加熱を始めてしまうとWi-Fiが全く使えない、ということも珍しくありません。
電波干渉が起こると具体的にどうなるのか
干渉の影響を確認するため、簡単な実験を行ってみました。環境は以下のとおりです。
回線(最高速度) | STNet Pikara(1Gbps) |
ルーター | Aterm WH822N |
接続周波数帯 | 2.4GHz(IEEE802.11n) |
リンク速度 | 300Mbps(Switchに表示されないため理論値) |
干渉していないとき
ダウンロード | アップロード |
---|---|
25.4Mbps | 16.5Mbps |
干渉しているとき
極端な例とはなりますが、Nintendo Switchの近くに無線接続している状態のスマホ、タブレット、ノートパソコンを置いた状態で測定しました。
ダウンロード | アップロード |
---|---|
3.6Mbps | 877.7Kbps |
かなり差が出ていることがわかると思います。同じ場所にて測定してコレなので、 かなり環境に左右されやすいデバイスといえます。
正直ここまで露骨に下がるとは思いませんでした…
干渉したときのアップロードは特に致命的で、 1Mbpsをも下回る結果となりました。流石にここまで下がってしまうとゲームの通信にも大きく影響を与えてしまいます。
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干渉の原因となる機器・環境の例
電波干渉は、先程のような同じ周波数帯の機器はもちろんですが、高速通信が可能な接続規格「USB3.0」のケーブルなどの危機の「ノイズ」によって起こる場合もあります。
Nintendo Switchの近くにパソコンやUSB機器を置いていると影響を受けてしまっている場合があります。
有用な対策一覧
5GHz帯(11ac・11ax)対応のルーターに買い換える(すでにある場合はそちらに接続する)
5GHz帯は、2.4GHz帯と比較して速度が速く、電子レンジの影響もほとんど受けません。
ただし、その代わり遮蔽物に弱いという特徴もあるので注意しましょう。
2022年現在では、ほぼすべての無線LANルーターが5GHzに対応しており、安いものであれば4,000円から購入できます。ただし、これらは「複数機器の同時接続に弱い」「有線LANの速度が100Mbpsしか出ず遅い」といった物が多いです。
個人的にオススメの価格帯は8,000円前後で、このくらいの価格帯の製品は「実用上十分な速度」「複数機器の同時通信もそこそこ強い」「有線LANも1Gbps対応」と、長く快適に使える製品が多いです。
1万円以上の製品は、無線LANの最高速度が1000Mbpsを超えるものも多いですが、実際にその速度を出すには回線・通信デバイス側もそれに見合ったものである必要があり、正直ほとんど意味はありません。
オススメは以下の製品で、現時点で最新規格となる「11ax」に対応しており、同時接続台数も14台と、ほとんどの方に十分な性能を備えています。有線LANも当然1000Mbps対応です。
家族の人数が多い方など、同時に使用する機器がかなり多い方には以下がオススメです。やや価格は上がってしまいますが、そのぶん同時接続台数は32台程度(公式ページ参照)とかなり多くなります。
5GHz対応のルーターを持っている場合は接続を確認
既にルーターが「5GHz」に対応している場合、そちらに接続してみましょう。ルーター本体や付属のカードに「5GHz」と表記された「SSID」と「パスワード」が書いてあるはずです。
手元のルーターが対応しているかわからない場合は、本体に貼ってあるシールを確認してみましょう。
なお、一概に5GHz帯といっていくつか種類があり、5GHz帯を使用するWi-Fiの規格としては「11a」「11ac」「11ax」があります。この中で「11a」という規格は昔の規格ということもあり、速度や安定性は低く、セキュリティ面でも劣ります。
現在は「11ax」が主流で、速度・安定性・接続距離など多くの面で優れています
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簡単にできる対処法
有線LANアダプタを使用する
もっとも簡単で確実なのは「有線LAN」で接続すること。オンラインゲームでは有線LANがマストと言われるほど効果的です。
速度はもちろん、安定性・応答性に優れており、当然ながら電波干渉の心配もありません。
通常版のNintendo Switchには有線LAN端子は搭載されていませんので、以下のようなアダプタを使用することで接続できます。
有機ELモデルであればドックに有線LAN端子が搭載されていますので、そのまま接続できます。
スマホやタブレット等を近くに置かない・ルーターとの距離を近くする
5GHzのルーターを用いた場合でも、当然周囲に同じ5GHzを使用している機器が多ければ干渉自体は起こります。特に、Nintendo Swtichは筐体が小さいこともあり無線感度が悪いため、干渉の影響をモロに受けます。
Nintendo Switchの設置位置も、テレビなどから少し距離を取った位置とし、無線LANルーターとの距離ができるだけ近く、遮蔽物を挟まない位置が理想的です。
遮蔽物があると、排熱の面でも不利になるので、夏場には熱暴走を引き起こす原因となります。特に初期型Switchは発熱も大きいため特に注意しましょう。
エラーが発生するのはサーバー側の問題の可能性もある
特定のゲームでのみ通信エラーが多発する場合、任天堂側のサーバーや相手側の通信に問題がある場合もあります。不特定多数の方とのプレイとなる以上、通信エラーを0にすることは不可能です。
例えば、スプラトゥーン3では、発売当初ということもあり、10試合に1回ほど試合開始前にエラーとなってしまう場合があります。このくらいの発生頻度であれば相手側の問題と思われます。
特に任天堂のゲームは、P2P方式での通信を採用している影響から、ユーザー側の通信状況に左右されやすくなっています。
他にも、マリオカート8DXを夕方から夜にかけてプレイしていると、有線LAN/無線LANどちらでプレイしていても、初回接続時には結構な頻度でエラーが出ます。これはプレイ人数が多いことなどから、ユーザーのマッチングを行うサーバーへの負荷が大きいことが原因だと思われます。
ただし、通常プレイに支障を来すほどエラーの頻度が高い場合(2回に1回程度発生するなど)は、自身の環境を疑ってみてください。
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